最終更新日
Thu, Mar 13, 2008
「NBAプレイヤーの素顔」

6)練習と準備
 漠然とした目標だけで練習していることはないだろうか? 今の練習は何に結びつくのか? そして明日の練習は何をするのか? 惰性で練習していても意味はない。相手より抜きん出るためには、「人の2倍も3倍も練習しろ」と言われるが、スーパースターたちにとって「練習している」という言葉は必ずしも適切ではない。彼らは「目標に到達する準備をしている」のだ。「準備」とは、自分の最終目標を設定し、将来の目標地点から現在までの時間軸上に各通過点における細分化された目標をさらに設定する。あとはそれに必要なメニューを作り上げ、それらを確実に遂行するだけだ。ヴィンス・カーター(Vince Carter)はデビューからの2年間、豪快なダンクや宙を舞うプレイでファンを魅了したが、一方で一部のメディアからは「ダンクしか見どころがない」と酷評を受けたこともあった。これに対し、Vinceは毎日500本以上のシューティングを欠かさなかった。今ではNBAの中でも外からのシュート力に定評のあるプレイヤーの一人になっている。

 コンディションの管理も重要だ。ゲームには体調を最高潮に持っていく必要がある。本番で最大のパフォーマンスを出す。これがスーパースターだ。もちろん、人間であり、普段通りにならないこともあるが、スーパースターはゲーム中にそれを修正できるところがもう一つの大きな違いだ。そのためには、周到な準備が必要になる。例えば、アリーナに行って緊張するなんて弱音を吐く人はいないだろうか? もしアリーナの雰囲気が心配なら、誰よりも早く現場に行って、隅から隅まで歩いたり、自分に必要なメニューをこなせばいい。相手チームに勝ちたいなら、そのチームが負けた試合を観察し、分析することだ。常に一歩先を行く準備を整え、次に精神面のイメージを植え込み、臨む。そうすれば結果はついてくる。戦いの結末は、戦う前に決まっている。

試合前、精神を集中させてシューティングをするVince Carter。集中力と自信がシュート成功率を引き上げる。
ディフェンダーとの間合いを意識し、相手の出方を予測しながら駆け引きを行う。独りでも、実際の場面を常に想定している。